2025.02.20 「イルカと人との共生」へ向けて〜五和町で第3回海の環境に配慮した勉強会を開催〜

令和7年2月20日(木)、五和町の二江地区コミュニティセンターで「イルカと人との共生」に向けた海の環境に配慮した勉強会が開催され、23人が参加しました。
これは、天草市イルカウォッチング事業者チーム(※1)が主催しているもので、今回の勉強会は9月と10月に引き続き第3回目の開催。
講師として三重大学教授の森阪匡通さんを招き、「ミナミハンドウイルカってどんなイルカ?〜ガイディングにも役立つ基礎知識〜」と題し講演を行いました。
講演では、ミナミハンドウイルカの生態などについてクイズを交えながら説明。
体の大きさや寿命、人間の年齢に換算すると何倍くらいかなど、参加者は楽しみながら学んでいました。
また、天草・御蔵島・小笠原諸島に生息するミナミハンドウイルカや海の状況についても比較。
海中の音の大きさとイルカが発する音(声)、群れのサイズには関連性があり、それぞれの地域で違いがみられるとのデータ結果が示されました。特に天草は他2地域と比べて海中雑音が大きく、イルカが発する音が届きにくいとのこと。
そのため天草のイルカたちは音が届く範囲にとどまらざるを得ず、群れのサイズが大きくかつ密集しているのではないかと解説されました。
「イルカは音の世界で生きている」と森阪教授。エコーロケーション(※2)という能力で世界を見ることができるイルカたちですが、アクリルやナイロン製のものは音を通してしまうため、イルカには見えにくいとのこと。
いずれも人間にとっては身近なものですが、イルカがナイロン製の網に引っかかって亡くなる事例も多く、海の環境についても考えさせられる勉強会となりました。
参加した天草市イルカウォッチング事業者チームの田口京重さんは「やはり環境をいかに守っていくかが非常に重要だと感じた。
アクリル製のものなどが海に浮いているところをよく見かけるので、その際は必ず処理し、海をきれいにしていきたい」と意気込みを語りました。
最後に、イルカと人との共生について森阪教授は「まずイルカのことをもっと知ること、イルカ目線で考えることが必要だと思う。
市民の皆さんにはたくさんイルカを見に来てもらって、イルカだけではなくイルカの住んでいる環境を広く見てもらうと、いろいろと変わってくると思う」と話しました。

(※1)天草市五和町でイルカウォッチングを運営する天草海鮮蔵、イルカウォッチング総合案内所(イルカクラブ、ドルフィンクルーズ、マリンワールド)、門口水産、丸健水産の6事業者が、天草の海の資源を守り、環境・生業・観光を持続可能にする活動を行うことを目的に設立したチーム(令和6年3月)。
主な取り組み内容は、以下のとおり。
・お客さんの安心・安全の確保
・漁師および関係者の収益機会、安心・安全の確保
・野生イルカが生息しやすい環境の確保
(※2)音や超音波を発し、その反響によって物体の距離・方向・大きさなどを知ること。