じっくり観察してみよう!背びれで見分ける天草のイルカ
群れで生活する野生イルカの特徴を1頭ずつ調べ、見分けるのが 「個体識別」です。イルカやクジラの個体識別は世界中で行われ、そのデー タは生態や群れ、病気・ケガ、環境など、あらゆる分野の研究に応用されます。天草イルカ調査室では2022年度から、通詞島沖に生息する定住型のミナミハンドウイルカの調査を開始し、2023年度末までに約130頭の個体識別を行いました。
天草のミナミハンドウイルカの個体識別ポイント
一般的なイルカの個体識別
ケガなど大きな変化が出やすい背びれをはじめ、主に5つのポイントで識別します。軽いひっかき傷や噛み傷などに由来する白い線は消退するため、個体識別 の要素にはなりません。
天草イルカ調査室の個体識別
船上から個体識別するため、水面に現れる頻度の多い背びれを中心に、口先や体幹などの特徴で識別します。
◼︎ 口先
あごの左右ずれや、下あごの出っ張りの角度といった違いが出る
◼︎ 胸びれ
本の指の骨がある。水中での撮影が可能な場合は識別に使われる
◼︎ 背びれ
生後すぐはほぼ個体差がなく、成長の過程で徐々に特徴が現れるる
◼︎ 体幹
特徴的なケガの痕跡や、生まれつきのシミなどが見られることも
◼︎ 尾びれ
泳ぎの推進力をつける。水中での撮影が可能な場合は識別に使われる
個体識別の機材について
広めの画角で 個体全体を観察し、背びれ・ロ先・体幹などの特徴が現れる部位にピントを合わせた撮影も行うため、ズ ム機能のついた高解像度